シュヴァルツ・アプフェル～黒果～魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

「なんか、『父親として失格だ。生きている資格がない』みたいに言ってお別れの電話してきたんだよ。まさかとは思ったけどかなり酔っぱらってたし、万が一と思って帰ってみた」

「は……？」

　いや、まあ……反省は確かにしてほしいけれど……。


「で、帰ってみたら何もしてなくて一瞬安心しかけたんだけど、何か通販でロープを注文しようとしててさ」

「え？」

「まず届くまで時間があるから本当にそういうことしようとしてたのかは分からないけど、ちょっとゾッとしちゃって……」

「……」

「とにかくなだめて寝かせるのを優先したんだ」

　そうしたら説明の連絡するの遅くなったんだ、ごめん。と謝られる。


「あ、うん。そういう事情なら連絡遅くなったのはいいんだけど……」

　眞白の謝罪を受け取りながら、わたしは何とも言えない感情をどうするべきか迷った。


　反省するのはいい。

　でも、なんでそんな極端な方向へ行ってしまうのか……。

　酔っぱらっていたとはいえ浅はかすぎる。


「うん、もう、何ていうか……迷惑すぎるでしょ！　あのバカ親父!!」

　つい、そう叫んでしまう。

　義父さんはいつも優しかったから、こんな風に思う日が来るとは思わなかった。

　いや、でもその状況聞いたら流石に思うでしょう!?　叫びたくなるでしょう!?