シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
そんな眞白を見送って途方に暮れていると、優姫さんはわたしに念を押すように言う。
「本当にお願い。あなたが彼のものになってしまったら、あたしは――」
「優姫?」
「っ!」
必死の表情で何かを訴えようとしたところで、彼女を呼ぶ声が聞こえた。
「金多……」
一瞬まずいところを見られたとでもいうような顔をした優姫さんだったけれど、すぐに取り繕って金多くんの方を向いた。
「今日はちょっと遅れるかもって言ってたのに……早かったのね?」
そう言ってわたしから離れて金多くんのもとへと行く優姫さん。
それを笑顔で迎え入れ、額にキスを落とす金多くん。
朝からラブラブなカップルだ。
「ああ、思ったより用事が早く終わったからね。……雪華さんと何を話していたんだ?」
「ん? 秘密。オンナノコのナイショの話だよ」
「なんだよそれ」
笑ってじゃれあう2人は幸せそうだ。
優姫さんの表情にもさっき見た険しさや必死さは見られない。
「ほら、そろそろ行こう。始業ベル鳴っちゃうよ」
そう言って手を引く優姫さんに笑顔で「ああ」と返した金多くんは、最後にわたしに視線を向ける。
「っ!」
「雪華さんも遅れないようにね」
「あ、うん……」
返事をしつつも、わたしは離れていく2人の背中を見つめたまま動けなかった。
「本当にお願い。あなたが彼のものになってしまったら、あたしは――」
「優姫?」
「っ!」
必死の表情で何かを訴えようとしたところで、彼女を呼ぶ声が聞こえた。
「金多……」
一瞬まずいところを見られたとでもいうような顔をした優姫さんだったけれど、すぐに取り繕って金多くんの方を向いた。
「今日はちょっと遅れるかもって言ってたのに……早かったのね?」
そう言ってわたしから離れて金多くんのもとへと行く優姫さん。
それを笑顔で迎え入れ、額にキスを落とす金多くん。
朝からラブラブなカップルだ。
「ああ、思ったより用事が早く終わったからね。……雪華さんと何を話していたんだ?」
「ん? 秘密。オンナノコのナイショの話だよ」
「なんだよそれ」
笑ってじゃれあう2人は幸せそうだ。
優姫さんの表情にもさっき見た険しさや必死さは見られない。
「ほら、そろそろ行こう。始業ベル鳴っちゃうよ」
そう言って手を引く優姫さんに笑顔で「ああ」と返した金多くんは、最後にわたしに視線を向ける。
「っ!」
「雪華さんも遅れないようにね」
「あ、うん……」
返事をしつつも、わたしは離れていく2人の背中を見つめたまま動けなかった。