シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
***
「あれ? 雪華さん、早いね。もう帰るんだ?」
生徒玄関付近で眞白を待っていると、たまたま通りかかったらしい金多くんと会った。
「あ、うん。今日はちょっと買わなきゃいけないものが多くて……」
今朝の彼の眼差しを少し怖いと思ってしまったせいもあって、無意識に警戒してしまう。
近づいてくる彼から逃げるように少し身を寄せてしまった。
そんなわたしに気づいてか気づかないでか、彼は気さくな様子で話しかけてくる。
「ああそっか、家のことしなきゃいけないんだもんな。……眞白は大丈夫だと思うけど、父さんは迷惑かけてないか? あの人優しいのはいいんだけど、その分頼りないからさ」
「あ、あはは……」
まさか本当のことも言えなくて、笑って誤魔化す。
実の父親のことだから知ってもらっても良いのかもしれないけれど、普通にわたしが話したくないし。
でも、金多くんは何かを察してか苦笑しながら言葉を続けた。
「それとももう愛想つかして家飛び出したりしてるとか?」
「え? 何で知ってるの?」
思わずそう返してから、「愛想つかしたからじゃないけどね」と付け加えておく。
「ごめん、今朝の話ちょっと聞こえてたからさ」
困ったように笑う彼に「そっか」と返す。
「あれ? 雪華さん、早いね。もう帰るんだ?」
生徒玄関付近で眞白を待っていると、たまたま通りかかったらしい金多くんと会った。
「あ、うん。今日はちょっと買わなきゃいけないものが多くて……」
今朝の彼の眼差しを少し怖いと思ってしまったせいもあって、無意識に警戒してしまう。
近づいてくる彼から逃げるように少し身を寄せてしまった。
そんなわたしに気づいてか気づかないでか、彼は気さくな様子で話しかけてくる。
「ああそっか、家のことしなきゃいけないんだもんな。……眞白は大丈夫だと思うけど、父さんは迷惑かけてないか? あの人優しいのはいいんだけど、その分頼りないからさ」
「あ、あはは……」
まさか本当のことも言えなくて、笑って誤魔化す。
実の父親のことだから知ってもらっても良いのかもしれないけれど、普通にわたしが話したくないし。
でも、金多くんは何かを察してか苦笑しながら言葉を続けた。
「それとももう愛想つかして家飛び出したりしてるとか?」
「え? 何で知ってるの?」
思わずそう返してから、「愛想つかしたからじゃないけどね」と付け加えておく。
「ごめん、今朝の話ちょっと聞こえてたからさ」
困ったように笑う彼に「そっか」と返す。