ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
「指名?私指名されたんですか?」
「そうなんだ。」
「あの、誰に?理由は一体?それに専属部屋担当って何なんですか?」
「僕も詳しくは知らないんだよ。まぁ、もしかしたら正社員になれるかもしれないチャンスだから、頑張って!」
専務は曖昧に話を終わらせると、そそくさとどこかに行ってしまった。
もしかしたら…かもしれない?いい加減過ぎる!しかも、全く答えになっていない!!
私は苛立つ気持ちを抑えながらスタッフルームから出ると、唯一仲の良い年下の正社員の高木奏(かなで)が真っ先にニヤニヤしながら声をかけてきた。
「美夕さん、聞きましたよ~。」
「奏ちゃん、どうしたの?」
「フロントスタッフみんな、大騒ぎになってますよ!」
「え?もう広まってるの?」
「そりゃ、あんな大勢仕事してるスタッフルームで話してたら聞こえますよ。清水さん、美夕さんの特別扱いに、かなり怒ってたみたいですよ。」
「みんな、忙しそうに仕事してたわよ。」
「仕事しながら、聞き耳立ててたんですって!」
「はぁ~、これから妬み嫉みでキツく当たられるかも…。」
と、思わず溜め息がこぼれた。
「大丈夫ですよ、橘さんが、清水さんにフォローしてくれてましたから。」
「そうなの?!」
それを聞いて私はちょっと嬉しくなった。橘さんは、このホテルの営業マンで、ホテルが閑散期でも、8割方客室が埋まるのは、ほぼこの人のお陰なのだ。しかも、スラッと背が高く、アイドル級のイケメンだ。おまけにやり手の営業マンだけあって口も上手く、彼に仕事を頼まれると、ほとんどの女子社員は断れない。私の中では、ああいう誰にでもいい人タイプは、性格的にパスだが、勝手に目の保養要員として位置づけている。ホテルのスタッフは生活が不規則なので、実は出会いが少ないのだ。お客様はあくまでお客様だし、ナンパしてくるようなお客様は逆にお断りだ。ホテルのスタッフだけでも100人以上いて、契約社員の私は他の部署の人と話をすることはほとんどない。名前さえも知らない人が多いのだ。こんな環境のおかげで、かれこれ、3年は彼氏がいない。
「橘さんがフォローしてくれたなら、大丈夫ね。」
「そうですよ!」
と、話していると、清水さんが、
「先程はごめんなさいね。」
と、声をかけてきた。
「いえ。」
「副社長の専属担当、頑張ってね。私も出来る限り手伝うから。」
「ありがとうございます…。」
フロントがざわざわと騒がしくなってきた。清水さんは、
「チェックインのお客様が増えてきたから、よろしくね。」
と、言って、スタッフルームに戻って行った。
「そうなんだ。」
「あの、誰に?理由は一体?それに専属部屋担当って何なんですか?」
「僕も詳しくは知らないんだよ。まぁ、もしかしたら正社員になれるかもしれないチャンスだから、頑張って!」
専務は曖昧に話を終わらせると、そそくさとどこかに行ってしまった。
もしかしたら…かもしれない?いい加減過ぎる!しかも、全く答えになっていない!!
私は苛立つ気持ちを抑えながらスタッフルームから出ると、唯一仲の良い年下の正社員の高木奏(かなで)が真っ先にニヤニヤしながら声をかけてきた。
「美夕さん、聞きましたよ~。」
「奏ちゃん、どうしたの?」
「フロントスタッフみんな、大騒ぎになってますよ!」
「え?もう広まってるの?」
「そりゃ、あんな大勢仕事してるスタッフルームで話してたら聞こえますよ。清水さん、美夕さんの特別扱いに、かなり怒ってたみたいですよ。」
「みんな、忙しそうに仕事してたわよ。」
「仕事しながら、聞き耳立ててたんですって!」
「はぁ~、これから妬み嫉みでキツく当たられるかも…。」
と、思わず溜め息がこぼれた。
「大丈夫ですよ、橘さんが、清水さんにフォローしてくれてましたから。」
「そうなの?!」
それを聞いて私はちょっと嬉しくなった。橘さんは、このホテルの営業マンで、ホテルが閑散期でも、8割方客室が埋まるのは、ほぼこの人のお陰なのだ。しかも、スラッと背が高く、アイドル級のイケメンだ。おまけにやり手の営業マンだけあって口も上手く、彼に仕事を頼まれると、ほとんどの女子社員は断れない。私の中では、ああいう誰にでもいい人タイプは、性格的にパスだが、勝手に目の保養要員として位置づけている。ホテルのスタッフは生活が不規則なので、実は出会いが少ないのだ。お客様はあくまでお客様だし、ナンパしてくるようなお客様は逆にお断りだ。ホテルのスタッフだけでも100人以上いて、契約社員の私は他の部署の人と話をすることはほとんどない。名前さえも知らない人が多いのだ。こんな環境のおかげで、かれこれ、3年は彼氏がいない。
「橘さんがフォローしてくれたなら、大丈夫ね。」
「そうですよ!」
と、話していると、清水さんが、
「先程はごめんなさいね。」
と、声をかけてきた。
「いえ。」
「副社長の専属担当、頑張ってね。私も出来る限り手伝うから。」
「ありがとうございます…。」
フロントがざわざわと騒がしくなってきた。清水さんは、
「チェックインのお客様が増えてきたから、よろしくね。」
と、言って、スタッフルームに戻って行った。