むり、とまんない。



「えっ!」

「キミ、momoちゃんの妹ちゃん?だよね?」


だれ……?


あーちゃんが隣で驚いた声を上げたのはなんとか分かったけれど、目が潤んで、だれなのかまではわからない。


「俺、crownのメンバーの八朔(はっさく)小春って言うんだけど」


確か、隣のクラスの人だっけ……。

杏や桃華たちとは反対の隣のクラスで、今私たちが一緒に合同で体育をしている教室の人。


「八朔、くん……?」


「うん。そうだよ!
にしても……この子、近くで見るとめちゃくちゃかわいいね」


他の男子もみーんな、顔赤くしてこの子のこと、見てるよ。


「でしょでしょ?たまんないでしょ?
八朔くんもそう思う?」


「ほんとにね。
君は、不知火の追っかけしてる子だよね」


「知ってるんだ?あたしのこと」


「知ってるよ。
かわいい女の子のことなら一目見て覚えちゃうから」

「不知火くんにはないそういうところ、ちょっといただけないかな〜」


なにやら楽しそうに話してる横で、なんとか息を整える私。


はぁ……やっとくすぐったいの、おさまった……。


「髪、崩れちゃったね。
あー……なんか、それも逆にそそられるな」


ちっ、ちかい……っ!!


くらりとする頭を押さえて起き上がった瞬間。

グッと距離を縮めてきた八朔くんに、息が詰まる。
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