むり、とまんない。


あー……声、やっば。

甘いし、かわいいがすぎる。


胡桃見てると甘やかしたくなる反面、

いじらしくて、いじわるしたいって気持ちもむくむくと湧き上がってくる。


もっとその顔がみたい。

もっとその声が聞きたい。


「まだ話、終わってねーけど?」


体を倒して、グッと顔を近づけて。

シャツを握っていた両手を絡めとって、シーツに押しつければ。


「っ、だから、やめてって……っ」


ほらまた。

もっともっとはずかしがって、顔を背けるから。


はぁ……ほんっと、かわいすぎだって。


くっそかわいい。

まじで犯罪級。


「かわいい」が、溢れてとまんない。


あー……キスしたい。


はずかしさにぷるぷると震える唇に、今すぐ噛みつきたい衝動を必死にこらえる。


どれだけ俺を我慢させたら気が済むんだよ。


胡桃見てると、ホントばかみたいに「かわいい」と「好き」しか出てこない。


ほんとは杏にも、桃華にだって妬いてる。


昨日胡桃が帰ったあと、杏を問い詰めたら。


心の声のことを知ってるのは中学のときから、なんて。

駄々こねてまで、桃華に聞いたとか。


もし俺がそこまでしてたら。
もっとはやく、胡桃の力のことを知っていたら。


もうずっと、片時も胡桃と離れることはなかったのかと思うと、ただ避けられていたことに荒れまくっていた自分が情けなくなる。
< 128 / 346 >

この作品をシェア

pagetop