むり、とまんない。


けど。


「まだ、やめねーよ」


どれだけ俺が胡桃を好きか、独占したいと思ってるか、もっともっと知ってもらわないと、離れてた分の心が満たされない。


「ううっ……」


だから、その赤くなんのも、煽ってるふうにしか見えないのに。


買い物も、さっきの体育もそう。


胡桃は自分がどれだけかわいいか、わかってない。


小学校のときから胡桃を好きになるやつなんてごろごろいた。

それはもう、数えきれないほど。


その度にこの子には俺がいるんだと牽制して、そばにいて。

ナンパだって、されそうになればすぐに、「この子は俺のだ」と睨みつける。


胡桃は昔から運動神経もいい。


かわいくて運動もできて、高嶺の花。

なのに、ほんとうは友達にちょっとくすぐられただけで顔赤くして、はずかしがって。


こんなの好きになる他ない。


どの男子もみんな胡桃を見て、顔赤らめて。


この子は俺のだというように、わざとみんなが見てる前で抱き抱えた。


芸能科にも、胡桃の噂を聞いて、何度も俺に「会わせろ」と言ってきたやつが何人もいる。


杏や桃華も、何回も同じことを言われるって言ってたっけ。


でも俺はそう言われる度に。


「胡桃に手出したら、他の女と遊びまくってること、マスコミにばらす」と脅した。


芸能科に通ってる男なんて、みんなそんなやつばかりだ。


特にcrownの八朔。

胡桃に近づいてたあいつなんて、特にそう。


かわいい子なら、だれでもってやつ。
< 131 / 346 >

この作品をシェア

pagetop