むり、とまんない。
けど。
「まだ、やめねーよ」
どれだけ俺が胡桃を好きか、独占したいと思ってるか、もっともっと知ってもらわないと、離れてた分の心が満たされない。
「ううっ……」
だから、その赤くなんのも、煽ってるふうにしか見えないのに。
買い物も、さっきの体育もそう。
胡桃は自分がどれだけかわいいか、わかってない。
小学校のときから胡桃を好きになるやつなんてごろごろいた。
それはもう、数えきれないほど。
その度にこの子には俺がいるんだと牽制して、そばにいて。
ナンパだって、されそうになればすぐに、「この子は俺のだ」と睨みつける。
胡桃は昔から運動神経もいい。
かわいくて運動もできて、高嶺の花。
なのに、ほんとうは友達にちょっとくすぐられただけで顔赤くして、はずかしがって。
こんなの好きになる他ない。
どの男子もみんな胡桃を見て、顔赤らめて。
この子は俺のだというように、わざとみんなが見てる前で抱き抱えた。
芸能科にも、胡桃の噂を聞いて、何度も俺に「会わせろ」と言ってきたやつが何人もいる。
杏や桃華も、何回も同じことを言われるって言ってたっけ。
でも俺はそう言われる度に。
「胡桃に手出したら、他の女と遊びまくってること、マスコミにばらす」と脅した。
芸能科に通ってる男なんて、みんなそんなやつばかりだ。
特にcrownの八朔。
胡桃に近づいてたあいつなんて、特にそう。
かわいい子なら、だれでもってやつ。