むり、とまんない。


とまあ、そんなこんなで。


「つき合うことになったわけね?」

「はい……」


ニヤニヤと笑う桃華の隣で、杏も一段とニヤニヤしている。

ううっ、そんな楽しそうな目で見ないでよ……。


「でもさ、ちょうどよかったよ」

「そうだね!」

「なにが?」


杏と桃華の言葉に、遥も私も首をかしげる。

なにが、ちょうどいいんだろう……?


「俺たちさ、今度ドラマ出ることになって」


「えっ、ドラマ?」


「そうそう!
しかも杏とあたしでW主演!!」


「ええぇぇぇっーーー!?
ほ、ほんとに!?」


「うんっ!!」

「ほんとだよ」


じゃあ、ほ、ほんとに……。

ダブルピースをするふたりに、一気に喜びが込み上げてくる。


「っ、やったね桃華!
夢、叶ったね!」

「ありがとう胡桃!!」

「杏も!
おめでとう〜」


「ありがとう、胡桃」


モデルとして活躍してる桃華だけど、ずっと演技のレッスンを受けてたことは知ってるし、何度もオーディションに落ちたって泣いてたから。


そっか、でもやっと。

やっと、念願叶ってドラマに出られるんだ。

しかも主演だなんて。

自分のことのように嬉しいよ……。
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