むり、とまんない。
遥に名前を呼ばれた途端。
今度こそ涙が落ちそうになって。
「あとで、追いつくから……」
いきなり声を荒らげた私に、2人は息を呑んだみたいだったけど。
「わ、わかった。
じゃあ、先にいってるね?」
「気をつけて来いよ?」
家へと向かう私にふたりはそれ以上なにも言ってこなくて。
「おまたせ!いこっか!」
「もも、か……」
「えっ、ちょっ、胡桃!?」
玄関に入ったとたん。
ふんふん♪と鼻歌を歌いながら靴を履いていた桃華の笑顔がピシッと固まった。
「もう、むり……だ、よ」
「なっ、なにがって……なんで、泣いて……」
それから困惑していた桃華にすべてを打ち明けた。
心の声のことも、遥に嫌われていたことも。
……遥と一緒にいるのが、つらいことも。