むり、とまんない。


それから気づいたことがある。


心の声は、遥以外のは聞こえないということ。

遥の1メートル範囲内にいれば、それが聞こえること。


だから私は決めた。


嫌われてるんだったら。
心の声が聞こえるんだったら、離れればいい。


その方が、遥もぜったい嬉しいにきまってる。


なのに遥は何度も何度も話しかけてきて。


「最近俺のこと、避けてない?」

「べつに避けてないよ」


遥が近づいてこようとする度に、べつの女友達のところへ逃げる。

遥は桃華と私以外の女子とはほとんど話さないって分かってたから。


登下校も、お互いの家を行き来することも自然となくなって。


「ねぇ、胡桃?遥は、胡桃のこと……」

「大丈夫。べつに励ましてくれなくていいよ」


桃華はなにか言いたそうにしてたけれど、私が大丈夫だよ、と念押しした。
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