むり、とまんない。


芸能人で人気爆発中の遥が、私と付き合うことで、いろいろ言われたり、事務所の人にも反対されるんじゃないかって。


「さっきの話、遥から聞いてなかったんなら、そう思っても仕方ないよ」


「はい……」


「でも、胡桃ちゃんと付き合いだしてからの遥、めちゃくちゃ調子いいから、事務所のみんなは本当に胡桃ちゃんに感謝してるんだよ」


「感謝、ですか……?」


「うん。
ずっと好きだった子と付き合えて幸せと言わんばかりにね。だからむしろ事務所はふたりの恋を応援してるよ」


「っ、清見さん……っ」


「あーあ、泣かないで。
遥にキレられるとか、まじで勘弁だから」


最初、事務所に入ってきたときは荒れまくりで大変だったから。


もう、あの頃思いは二度としたくない。


そう言って清見さんは苦笑い。


遥は。

遥はあえて私に、事務所に入るときのことを話さなかったのかもしれない。


自分はもう、想いを伝えたから、あとは私が覚悟を決めてくれるかどうか。


私がちゃんと遥への想いに気づいて自覚して、今度は私が遥にぶつかっていけるかどうか。


「なんだか、すごくすっきりした顔してるね、胡桃ちゃん」


「はい」


心にあったわだかまりが、やっとなくなった。


やっと遥への想いを自覚できた。


遥が何度も何度も伝えてくれた分、今度は私が遥にぶつかっていかなきゃだから。


「よーし!
胡桃ちゃんがいろいろ覚悟を決めたところで、まずはこのドラマ、がんばろうね!」


「うっ、そうでした……」
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