むり、とまんない。


「こりゃあ、遥くんが大事にしてる気持ちもわかるなぁ」


「でしょう?」


「胡桃!
はずかしいのはわかるけど、もうちょっと胸張って立ちなよ!」


「だって視線が痛すぎて……」


桃華がこそっと喝を入れてくれたけど、どうしてもうつむいてしまう。


学校といい今といい、今日は大勢の人に注目される日なの……?


「あの子がmomoちゃんの妹さん?
めちゃくちゃかわいいじゃん」


「声、かけにいく?
連絡先教えてくれるかな」


「ばっか、おまえ!知らねーの!?
あの子にはbondの……」


「遥さん!入りまーす!」


その声に、その場にいたスタッフや、出演者、そして私たち全員が振り向く。


「よろしくお願いします」


「はる、か、だよね……?」


「くる、み……?」


「………」


遥も目を見開いていたけれど、あまりのかっこよさに、もう完全になにも言えなくなってしまった。
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