むり、とまんない。

「いやー、熱いね、おふたりさん。
本番中もぜひともそれで頼むよ」


「あっ、そ、それで、私たちはどういった役なんでしょうか?」


『てか、え、ポニーテール?
中学のとき以来じゃん。うなじえっろ。
あー……しるしつけたい』


っ、遥!


「ふたりにセリフはないから安心して。
でもその分、体当たり、がんばってもらうから」


『メイクも若干きつめな感じ?他の女だったらぜったいケバく見えんのに、胡桃がやったら愛おしいとしか思えない。こうやって見ると、胡桃ってほんとかわいいよな』


っ、だからっ……!


『しかもスカート短すぎない?
太ももとか、もうぜんぶがエロかわなんだけど』


「っ〜!!」


「「遥、ちゃんと話聞こうか」」


「聞いてるけど」
『家帰ってイチャイチャしたい』


聞いてないじゃん!!


監督が話をしている横でどんどんうつむく私に気づいてくれた桃華と杏が喝を入れてくれた。


はぁ……顔あっついし、変な汗かいた。


これから撮影だってのに、うまくやれる自信がない。
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