むり、とまんない。


「安心してね。
カメラの角度的に胡桃ちゃんの顔は一切映らないようにするから。ちゃんと顔が映るのは遥くんだけ」


あっ、いや、私が言いたいのはそういうことじゃなくて!!


『当たり前だろ。
キスしてるときのかわいい顔とか、とけそうな顔撮影するとか俺がゆるさない』


そこなの!?

てか遥はどういう立ち位置にいるの!?


「ち、ちなみにイチャコラってどういう……」


「あ、それは君たちに任せるよ〜」


かるっ!

え、軽すぎない?


あくまでも私たちはエキストラ、なんだろうけど、私はいろいろ初なんだって!

いくら相手が遥とはいえ、どうしたらいいのかわかんないよ!


「じゃあ、本番はじめまーっす!」


「えっ!?
もう本番!?」


「胡桃、ガンバ!」

「遥、やりすぎるなよ」


「わかってるって」


桃華と杏に助けを求めたけれど、ふたりとも笑顔で手を振るだけ。


主演で大変なのはわかるけど、少しくらい助けてくれてもよくないですか!?



「胡桃、こっち」


「っ、なっ!?」
< 205 / 346 >

この作品をシェア

pagetop