むり、とまんない。
「安心してね。
カメラの角度的に胡桃ちゃんの顔は一切映らないようにするから。ちゃんと顔が映るのは遥くんだけ」
あっ、いや、私が言いたいのはそういうことじゃなくて!!
『当たり前だろ。
キスしてるときのかわいい顔とか、とけそうな顔撮影するとか俺がゆるさない』
そこなの!?
てか遥はどういう立ち位置にいるの!?
「ち、ちなみにイチャコラってどういう……」
「あ、それは君たちに任せるよ〜」
かるっ!
え、軽すぎない?
あくまでも私たちはエキストラ、なんだろうけど、私はいろいろ初なんだって!
いくら相手が遥とはいえ、どうしたらいいのかわかんないよ!
「じゃあ、本番はじめまーっす!」
「えっ!?
もう本番!?」
「胡桃、ガンバ!」
「遥、やりすぎるなよ」
「わかってるって」
桃華と杏に助けを求めたけれど、ふたりとも笑顔で手を振るだけ。
主演で大変なのはわかるけど、少しくらい助けてくれてもよくないですか!?
「胡桃、こっち」
「っ、なっ!?」