むり、とまんない。


「っ、こ、ここに座れって言うの!?」


「そうだけど。
だって、立ったままだとキスしにくいから」


まあ、そうかもしれないけど!


たしかに私と遥とでは身長差がすごい。

でもだからって、なんで膝の上!?


みんな見てるんだよ!?

家じゃないんだよ!?


「ほら早く。
こっちきて」


「うわっ、ちょっ……!」


「はぁ……やっとこっちきた。
やっと胡桃のこと抱きしめられる」


「っ、遥……っ」


「いいね、ふたりとも!
その調子でいろいろやっちゃって!
遥くん、はめ外さない程度に!」


「わかりました」


いろいろ!?

やっちゃう!?


なにを!?


てか、遥も真面目にうなずかないでーーーっ!!


「では本番はじめまーす!
本番5秒前、4、3、2……」


『胡桃』


「っ、なに……」


『しー……しゃべっちゃ、だめ。
心の中で俺がこうしてって言うから、それに合わせられる?』


「っ……」


『わかったら俺の首に手、まわして』


!?


さっそく!?

て、手、まわすの!?


『ほら、早く』


「いつもいつも私たちに仕事押しつけるのやめてほしいよね」


「たしかに。
さっさと帰りたい」


遠くで杏と桃華の話す声が聞こえる。

たぶん、ここに向かってる途中なんだと思う。


『今からキス、するから。
息きつかったり、とまってほしいときは、どこでもいいから俺の服、握って。できる?』


コクコクッ。


その言葉にうなずけば、遥は心の中で「よし」と言った。


『一応遊んでるカップルって設定だから、いろいろ激しくなると思うから、前もって言っとく』


っ、なっ、えっ、えっ!?

は、激しく!?
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