むり、とまんない。


慌てていたらいつの間にかコツンとおでこが合わさって、遥はとろけそうなほど甘い瞳で私を見つめた。


『胡桃、すきだよ。
すげえすき』


そして私の首と腰に手をまわした遥は、


「っ、んっ……!」


最初から息ができないほどのキスをふらせる。


「っ、は……っ、」


『そう、あーん、な。
もうちょっと舌、出してみ?』


「んんっ……」


はずかしい恥ずかしい。


唇が合わさるたびに聞こえる水音に、自分じゃないような甘い声。


必死に声がもれないようにするけれど、我慢できなくてどうしても出てしまう。


角度を変えて何度も重なる唇は熱くて、甘くて。

この空間には、遥と私しかいないかのように錯覚してしまう。


「たしか、数学準備室って言ってたよね?」

「うん」


「っ、ん……」


『つらかったら、声出してもいいから。
俺にしか聞こえてないから』


そうっ、言われても……っ。

やっぱり人前だし、一応撮影なわけだし、どうしても我慢してしまう。


『目、潤んでる。
息、つらい?』


ぎゅっ。

首にまわした手に力を入れて、遥の学ランを握る。


酸素がうまく頭にまわってなくて、くらくらする。

全身が熱くて、沸騰してるみたい。


『ん、了解。
一旦キスやめるけど、胡桃はそのままな』


ちゅっと最後にふれるだけのキスを落とした遥は、ふわふわと髪をなでてくれて、私の胸元へと手を伸ばす。
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