むり、とまんない。


っ、なんで……っ、遥……っ!


力の抜けた私はどうしようもできない。


けれど遥は私の胸元のリボンを外しながら首に顔をうずめる。


「っ、んんっ……」


『声、かわいい。
もっとふれたい』


っ、遥……っ。

耳に、首に、鎖骨に。

何度も何度も落ちてくるキスに、もっともっと体が熱くなる。


『っ、はぁ……暑い。
ごめん、一回離れるな』


そして一度体を放した遥は。


『ん、おまたせ。
もう一回キスしよ』


学ランを脱いで腕まくりをしたあと、グッと私の腰を引き寄せる。


『ん、かわいい。
だいすき、胡桃』


「はぁ……っ、あっ……」


私も、すきだよ、遥……っ。


心の声で何度も気持ちを伝えてくれる遥に、応えたい。

でも言葉にはできない。


その歯がゆさに、なんとか意識が朦朧となるのを必死にこらえる。


「あ、そこじゃん、数学準備室」


桃華と杏の声がすぐそばまで近づいている。

もう少しでこの演技も終わり。
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