むり、とまんない。
本当は
「胡桃は今日帰ってなにするの?」
「んー、とりあえず買い物していくかな」
放課後。
授業も全て終わって、あーちゃんと廊下を歩く。
桃華は今日も夜まで撮影だって言ってたし、疲れて帰ってくるだろうから、元気が出るもの作ってあげたい。
ヘルシーだし、豚しゃぶとかいいかも。
「家庭的だねぇ〜」
「べつに普通だよ」
私にはこれくらいしか取り柄がないもん。
そう思ってローファーを履き替えて玄関を出たら。
「うっわ、なにこれ……」
見渡す限り、女子女子女子。
その合間から、頭一つ分抜き出た2人の男子生徒。
「きゃあああ!!」
「遥くーん!
こっち向いて!」
「杏くーん!」
毎日毎日見慣れた光景にため息をつく。