むり、とまんない。
「どいてよ!
遥くんが見えない!」
「こっちは甘利(あまり)くん見てんの!
邪魔しないで!」
女子のbond見たい戦争が勃発してる中で。
甘利くん。
たしか、不知火くんと同じグループの人だっけ……。
芸能人に詳しくない私はそれしか知らない。
「えっ!うそ、不知火くんいるじゃん!」
「ちょっ、あーちゃん!?」
どうやら不知火くんもいるみたいで、顔を顰めてたあーちゃんはとたんに目を輝かせて、女子の群れに突っ込んでいく。
「遥くん!
この後一緒に遊びに行こうよ!」
「ねね!
この間音楽番組で一緒になったんだけど、覚えてない!?」
あーちゃんがいなくなってすぐ。
聞こえてきたのはその会話。
見れば、遥たちは同じ芸能科の子たちに囲まれていた。