むり、とまんない。


「だって、事実だし?」


「っ、遥!」


「けど、俺だけの勝手な気持ちで、胡桃に負担かけたくないのも本当。俺たちは俺たちなりに進んでいけばいい」


「うん……」


遥にふれてほしい気持ちは、もちろんある。

けど、やっぱり怖い気持ちがあるのも事実だから。


「この先もずっと付き合っていくんだし、俺たちのペースでゆっくり進んでいこうな」


「遥……」


まだ寝起きで目がとろんとしたままなのに。

かすれた声はとびきり優しくて、心の奥がじんわりあたたかくなる。


この先も。

遥と同じように、私も遥といる将来しか考えてないよ。


「遥……」


「ん?」


「すき……」


でも、その言葉を口にするのははずかしかったから、ぎゅっと抱きつくだけ。


「っ、朝から煽んな」


「え……?」


「胡桃、キスしよ」


「えっ、ちょっ、んぅ……っ」
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