むり、とまんない。
少し強引にあごをつかまれて、遥の方を向けば。
びっくりして開いた口の中に、熱いものが侵入してくる。
「ん、すきだよ、胡桃」
『だいすき』
昨日とは違って、すごくゆっくり口の中で動くから、変に体がゾワゾワして、お腹の奥がキュンとした。
ブーブー。
「はる、か、電話なって……」
「今は胡桃との時間」
「っ、でも……っ、」
この着信音は私じゃないから、遥のスマホ。
もしかしたら清見さんからかもしれないし。
「っ、でないと、」
「っ、はぁ……
ちょっとまってて」
遥は上体を起こすと、スマホを手にとる。
「もしもし」
どうやら相手は清見さんのようで、今日のスケジュールを確認しているらしい。