むり、とまんない。


特に容姿に自信がある芸能科の子。

モデルさんだったり、女優さんだったり。

地味な私とは比べ物にならないほどかわいくて美人な子が多いのに。


「……」


遥は一つとして見向きもしない。


「はーるーかーくんっ!」


そこに、手入れの行き届いたつやつやのブラウンの巻き髪を揺らして遥の腕に抱きつく女の子。


とたんに。
無表情だった遥の眉がピクリと動いた。


「………」

「ねえ、遥くんってば!」


聞いてる?

そう言ってその子が横から覗いた瞬間。


「……さっきから遥くん遥くんて。無視してんのが分かんねーの?」


顔をしかめた遥は、睨みつけるように冷たい声でバッとその腕を振り払った。


「きゃああ!
遥くんがしゃべった!」

「声イケボすぎぃぃぃーー!」


なのに女の子たちはみんな目をハートにしてて。


え?これって私がおかしいの?

あまりの光景に唖然とする。


もし自分が好きな芸能人にあんな態度取られたらぜったいいやだし、傷つくと思うけど……。


遥ファンの女の子たちはみんな、そこがいい!クール最高!なんて盛り上がってる。
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