むり、とまんない。

「胡桃〜!!」


「あーちゃん!!」


それから向かったショッピングモールの入り口で手を振っているあーちゃんを見つけた。


昨日の撮影のことも聞きたいって言ってたから、せっかくだし、カフェでお茶でもしようってなった。


「ごめん、待たせた?」

「ぜんっぜん!
あたしも今きたとこ……って、え?
どうしたの、そのマスク」


「あー、これは遥が……」


なんて理由説明したらいいの……。


言い淀(よどん)でいたら、しばらく目をパチパチさせていたけど、すぐにニヤリとした。


「ほーん?なるほど。
男避けってワケね」


「……」


夏だけどマスク。

これは遥に言われたもの。


『だだでさえ芸能人よりもかわいいから、俺がいないとき、1人で出かけないといけないときはぜったいにマスクつけて』


『え、でも私なんかナンパなんて……』


『前にスーパーで声かけられてただろ。
学校で体育してたときも。八朔に顔近づけられてたじゃん』


『うっ、それは……』


『俺は胡桃が俺の見えないところで他の男に声かけられてないか心配でたまんないの。だから、』


お願い。


『わ、わかった』


『ん』



遥の女の子への態度はわかってるとはいえ、私だって、遥が知らないところで他の女の子に腕を組まれたりしたら嫌だから。
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