むり、とまんない。


それからやってきたのは、フルーツをまんま絞ったドリンクを出してくれると話題のカフェ。


キウイやグレープフルーツ、いちごまでなんでもある。


「胡桃!
なに頼む?」


「んー、私はオレンジかな……」


「遥だけに?」


「ちっ、ちがうよ!」


無意識だった。


まあ、フルーツといえばでパッと思い浮かんだのがオレンジだったのはたしかなんだけど……。


「いいねいいね!
どんどん遥くんに染まってるね〜!
あー、友達の恋バナ聞くのってなんでこんな楽しいんだろう!」


「そ、そうなんだ……」


あーちゃん、めちゃくちゃテンション高い。

いつものゆるふわボブも、今日は一段と巻きに気合いが入ってる気がする。


「で!?
撮影はどんな感じだったの!?」


「は、話さなきゃだめ……?」


「当たり前よ!
1から10までぜーんぶ話してね!」


うっ、文句は聞かないと言わんばかりのあーちゃんに、私は渋々話し始めた。


清見さんから聞いた、遥が事務所に入る前の話。


カップル役を演じたこと。

そして……。
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