むり、とまんない。
「そのマスク」
「え?」
「夏なのにマスクつけてるの、珍しすぎ。
ナンパ避けってとこ?遥だろ」
「……」
なんでわかるの。
「まあ、昔からそうだったよな、あいつは」
「む、昔から……?」
「そう、昔から」
めちゃくちゃ穏やかに笑ってる甘利くん。
でもなんだろう。
その目はどこか、そこにいない誰かを鋭い目で見ている気がして。
「遥に」
「え?」
「遥によろしく言っといてよ」
「え、甘利くん、遥と仲いいの?」
「んー、まあ、そんなとこ」