むり、とまんない。
***


「へぇ。
それでドレス着ることになったんだ?」


「ほんと、めちゃくちゃ嫌なんです……」


「胡桃、めちゃくちゃ嫌がってたんですけど、みんなが見たいって聞かなくて」


「たしかに俺も見たいわ」


なんてニヤニヤ笑う清見さんがイラついてしょうがない。


ほんとに!

嫌なのに!


それから授業も終わって、迎えに来てくれた清見さんの車に乗り込んだ私たち。


「遥がいたらぜったい止められてただろうし、よかったね、胡桃ちゃん」


「ぜんぜん良くないです!」


私たちのクラスのコンセプトとは、

夏の舞踏会。


遥をはじめとして、甘利くんや不知火くん、女優のmiwaちゃんをはじめとして、特にうちのクラスは今話題の美男美女が勢揃い。


そんな人たちに出てもらわないでどうする!

ってのがうちのクラスの考えで……。


「本人たちに許可とってないのに、いいの?」

「いいんじゃない?
少なくともmiwaちゃんはめちゃくちゃノリノリみたいだし」


crownのふたりと遥はその場にいなかったけど、miwaちゃんはそこにいて。


『ドレスとかは任せて!
仕事関係で、そういうの貸してくれる人がいるから!』


って、言ってた。


「でも、どうして私まで……」

「そりゃあ、美女に胡桃も含まれてるからでしょ」


「それならあーちゃんのほうが妥当じゃ……」


私、接客なんて無理だよ。


「あたしは王子姿の不知火くんをこの目に収めるっていうミッションがあって忙しいから無理!」


「はぁ……」
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