むり、とまんない。


「あーちゃんのほうだよ」

「だから胡桃だって」


清見さんの後ろにいるとはいえ、制服着てるからだろうか。


なんだか肩身せまい……。

そう思って縮こまっていたら。


「橘……?」


あれ、この声……。


「妹ちゃん!?」

「あれ、あすみちゃんもいる」


「不知火くん!」


うしろから聞こえた声にふり向くと、甘利くん、八朔くん、不知火くんがいた。


「んで、ここに……」


「あっ、もしかして!
僕たちのステージ、見にきてくれたの!?」


「そうだよ!」


「あすみちゃん見てるなら、俺今日のステージめちゃくちゃがんばれちゃうな」


「し、不知火ぐんんんっ!!」


にこにこ八朔くんが笑う横で、不知火くんも王子キラーの笑顔を見せている。


ま、まぶしい……。


普段から応援してるあーちゃんは見慣れてるみたいけど、こんな近くでイケメン集団を見ることはないから圧倒されちゃう。


「妹ちゃんも、僕たちを見にきてくれたのっ!?」


「あ、それは……」


というか、近い……っ!


グッと顔を近づけられて、思わずたじろぐ。


この間も思ったけど、八朔くん、いつもこの距離で女の子と話してるの!?


「おい、小春。
橘困ってる」


「ちょっ、引っ張んないでよ、みはや!」


ピシッと固まってたら、甘利くんが八朔くんを遠ざけてくれた。


「だって妹ちゃん、めちゃくちゃかわいいんだもん!僕の好みど真ん中♡」


「それ、どの女にも言ってるだろ」
< 279 / 346 >

この作品をシェア

pagetop