むり、とまんない。
「愛してる」って、何回言ってもたりない。
夏の舞踏会
「……るみ。
胡桃っ!!」
「へっ?
あっ、な、なに?」
「ソーダ、溢れてるよ!」
「え……?
うわっ、ご、ごめん!」
その日の放課後。
3週間後に迫った文化祭に向けて、さっそく今日から準備がはじまった。
「ねねっ、聞いた!?
今年のステージ、bondとcrownがパフォーマンス対決するんだって!」
「聞いた聞いた!
めちゃくちゃ楽しみ〜!
ぜったいcrownに入れる〜!」
「まだステージ見てないのに?」
「うん!
だって推しだよ!?」
「それを言うなら、あたしはぜったいbond!」
「ちょっと!
手、とまってるよそこ!」
「ごめんなさーい」
「胡桃、大丈夫?」
「うん……」
今は家庭科室で、お客さんに出すメニューの試作中。
あーちゃんが注意してくれたけど、ここには女の子しかいないから、必然的にそういう話になるわけで。
「話、もう広まってたんだ」
「ほんと、びっくりだよね……」