むり、とまんない。


どこから話が漏れたのかはわからないけど、ステージの方だけは毎年一般のお客さんも入れるから大盛り上がり。


だとすれば、生徒が気になるのも無理はなくて。


「まさか、甘利くんがねぇ」

「うん……」


あーちゃんには、甘利くんとのことをすべて話した。


最初はただただ驚いているみたいだったけど、すぐに、


「そっか」


そう言って、優しく頭をなでてくれた。


表向きはcrownとbondのパフォーマンス対決ってなってるけど、本当は……。


「あーちゃんは……」


「うん?」


「やっぱり、crownに勝ってほしいと思ってる?」


あーちゃんの推しは、不知火くん、だから。


コップの中の氷がカランと揺れて。

パインジュースの中に、シュワシュワと炭酸がはじけてとけるのをじっと見つめる。


「あたしは、どっちでもない」

「え?」


窓から入ってきた生ぬるい風があーちゃんのふわふわの髪を揺らす。


「たしかに推しだけど、胡桃を思えば、もちろん、bondに勝ってほしい」

「うん……」


あーちゃんが飲んでるのは、私のとは違って、いろんなフルーツが入ったソーダ割り。


キウイやイチゴ、レモンなど、様々で。

見ていてすごくカラフル。
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