むり、とまんない。


他の女の子に、かっこいいって言われてほしくない。

私だけの、王子様でいてほしい、なんて。


口から出る言葉は、遥を困らせるものばかり。


『っ、だからなんで、こういうときばっか、素直になんの。ほんと生殺し』


「ふれて、くれないの……?」


「は?」


「ずっと……遥にふれてほしかった。
キス、してほしかった」


眠くて、これが夢か現実かわからなくなってきた。

でももしこれが夢なら。

夢で、あるならば。


「して、遥」


今だけは、遥にふれることをゆるしてほしい。


「っ、ほんっと……この2週間、俺がどれだけ我慢してると思ってんの」


どこかやけになった声のあとで。


「ん……」


おでこにふってきたのは、優しい口づけ。


「これ以上したら、ほんとにとまんなくなるから」


「いいよ、とまんなくても」


「胡桃……っ」


「もっと、して、遥……」


「っ……」
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