むり、とまんない。


「っ、んんっ……」


いつの間にか、やっぱり主導権は遥のほう。

後頭部に回された手も、頬をすべる手も、遥だと実感できるすべてに、心が満たされていく。


それから少しして唇が離れた頃には。


「はる、か……?」


「っ、そんな目で見んな。
眠いなら寝てていいから」


「ん……」


そっと目に手を当てられて、ゆっくり目を閉じる。


『ほんと無防備。
目、こんなにとろんとして、襲ってって言ってるようなもんだろ』


「はる、か……?」


『渡したくない。
甘利にはぜったい渡したくない』


頭の中に遥の声が流れ込んでくる。


どこか泣きそうな声だけど、遥らしい、芯の強さを感じられる声。


「ぜんぶ終わったら、もう待たない。
朝まで放さないし、めちゃくちゃにするから」


「ん……」


「覚悟しててよ、胡桃」


そして眠りに落ちた私は、遥がどんな顔をしていたかを知らない。


耳まで真っ赤にして、


「理性、ぶっ壊れる……」


そう、つぶやいていたなんて。
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