むり、とまんない。
***


いよいよ文化祭前日になった。


学校全体がお祭りムードって感じで、どのクラスも気合いが入っている。


「今日は久しぶりに、遥の好きなからあげ、作ろう
かな」


少しでもこれで、がんばってほしいから。


そう思ってスーパーに寄って、少し奮発していいお肉を買った。


本番は、明日。


今日学校に行くと、クラスの女の子たちだけじゃなくて、学校中の女の子の話題はぜんぶそれで持ち切りで。


「胡桃……」


「大丈夫だよ」


あーちゃんは心配そうに私を見ていたけれど、私は遥を信じてる。


「あれ……?」


それからマンションへと帰ると、駐車場に見たことのある車がとまっていた。


あれ確か、清見さんの……。

珍しい。

遥、もう帰ってきたのかな?


だとしたら、久しぶりにいっしょにごはん食べれるかも……!


そう思って走って部屋へと向かい、急いで鍵をあけると。
< 302 / 346 >

この作品をシェア

pagetop