むり、とまんない。


「「胡桃っ!!」


「桃華!?
杏も!?なんで……」


ここいないはずの桃華と杏が、ものすごい勢いで駆け寄ってきた。


「今連絡しようと思ってたとこ!」

「ふ、ふたりとも撮影は……」


「あたしはちょっと物を取りに寄っただけ。
でも杏は……」


ちらりと桃華が隣にいた杏を見つめた。


「胡桃」


私をよぶ声は、いつもの穏やかな声じゃない。

色素の薄いブラウンの瞳がゆらゆらと揺れて、杏はグッと唇を噛みしめたあと、口を開いた。



「落ちついて聞いて、胡桃。
遥が……」


そのあとに続いた言葉に、持っていた袋がどさりとすべり落ちた。
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