むり、とまんない。
「ん、胡桃……」
ぎゅうっと腰に回った腕は変わらず力強くて、放す気はまったくないって言われてるみたい。
「明日本番なのに。
心配かけて、ごめん」
「そんな……」
そんなの、遥が謝ることじゃない。
遥が無理したのだって、元はといえば私がちゃんと……。
「また私がって、考えてない?」
「っ、だって……」
「俺は勝負を持ちかけられたことも、甘利に対しても、なんとも思ってない」
「でも……」
「ただ、胡桃を渡したくない。
その一心でいるだけ」
「っ……」
でも、それでも。
「やっぱり私のせい……」
「それ以上言うなら、たとえ胡桃でも許さない」
「っ……」
「俺の最愛の子のこと、これ以上責めないで」
!!