むり、とまんない。


「あーあ、胡桃にこんな顔させて。
泣かせるなら、ぜんぶ俺がいいのに」


「なに言ってるの、遥……」


泣くな泣くな泣くな!

自分に何度も言い聞かせてたら、思わぬ言葉がふってきて、力が抜けてしまう。


「まあ俺の場合は、泣かせるの意味が違うけど」


「だから、意味がわかんな……」


っ!?


「あれ、もしかしてわかっちゃった?
遠回しに言ったつもりだったんだけど」


「っ、なっ!?」


「もしかして、胡桃もそれを望んでくれてたり?」


「っ、ば、ばか!
とっと寝て!」


「ふっ、ほんっとかわいい反応してくれるよなー」


なんて口はいじわるばかり。

でもふわふわと頭をなでてくれるその手も、見つめるその瞳もとびきり優しいってわかってるから。
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