むり、とまんない。
「さて、続いては後攻!
またまた女子中高生の間で大ヒット!
bondのおふたりです!」
「きゃあああ!
遥ーーーっ!」
「杏ーー!
こっち向いてー!」
ふたりが出てきた瞬間。
crownと同じく女の子たちの歓声があちこちで上がるけれど、ふたりは見向きもせず、立ち位置につく。
そしてそのあとに。
「あれ、もしかして……」
黒のジャケットに、黒のレザースキニーを履いた遥たちと同じく。
全身黒のスーツで現れた5人の男の人。
「バックダンサーだね」
桃華が教えてくれる。
「今日俺たちも新曲を披露します。
今まで俺たちは主にバラード曲をメインとして歌ってきましたが、今日は……」
「高難易度のダンスと一緒に歌います」
遥の声に、またもやざわめきが走る。
「マイク持ってないし、イヤホンマイクなの、そのせいだったんだ……」
隣で桃華がぼそっと言った。
高難易度ダンス。
それをこのたった3週間の間に仕上げたの……?
「それでは聞いてください。
……『Crazy you』」