むり、とまんない。

王子と姫は、星空の下



「橘」


「甘利くん……」


「ちょっと、いい?」


「うん……」


教室の片づけもすべて終わって、トイレから教室に戻る途中、甘利くんが待っていたかのように声をかけてきた。


「もうすぐで後夜祭がはじまります。
生徒の皆さんは、中庭のキャンプファイヤー前へお集まりください」


夕日が差し込む中庭に、もうほとんどの人が集まっているのが窓から見えた。


「勝負のことなんだけどさ、」


「うん……」


着いた先は屋上。


ドアを開けると、むわっとした空気とともに、空全体が赤く染まっていて。

いつもは涼しげな甘利くんの顔も、今は空と同じ色をしていた。


「思った通りの結果だったよ」
< 332 / 346 >

この作品をシェア

pagetop