むり、とまんない。
王子と姫は、星空の下
「橘」
「甘利くん……」
「ちょっと、いい?」
「うん……」
教室の片づけもすべて終わって、トイレから教室に戻る途中、甘利くんが待っていたかのように声をかけてきた。
「もうすぐで後夜祭がはじまります。
生徒の皆さんは、中庭のキャンプファイヤー前へお集まりください」
夕日が差し込む中庭に、もうほとんどの人が集まっているのが窓から見えた。
「勝負のことなんだけどさ、」
「うん……」
着いた先は屋上。
ドアを開けると、むわっとした空気とともに、空全体が赤く染まっていて。
いつもは涼しげな甘利くんの顔も、今は空と同じ色をしていた。
「思った通りの結果だったよ」