むり、とまんない。


あのあとの、結果は。


『そしてbondは……』


シーンと静まり返った会場で、一人一人が興奮したように司会の男の人を見つめる。


「8!!
な、ななな、なんと、bondも8で一票差!
crownは895、bondは896で一票差ですが、見事bondの勝利です!」



「っ!!」


司会の人の声にわっと会場が盛り上がった瞬間。


「やったあぁぁぁーー!!」


「ちょっ、桃華!?」


ガバッとうしろへ倒れちゃうほど勢いよく、桃華が抱きついてきた。


「うっ、ううっ……」


「あーちゃん!?
なんで泣いてるの!?」


「なんか、ここまで長かったなぁって。
いろいろ思い出しちゃって。
うわーん!!」


「あすみ!
泣かないでよ!あたしまでもらい泣きしちゃうじゃん!」


「だってえ……」


「一票差かー。
でも個人的にはcrownがよかったと思うけど!」


「まあね。
でも、普段ダンスしてない人たちがあそこまで仕上げてくるって相当大変だったと思うよ」


うしろで結果について、いろんな声が聞こえてくる。


でもどの人も、見てよかった、やっぱりcrownもbondも最高だった。


みんな満足そうにうなずいたり笑ったりしていて。

私もいろんな感情があふれてとまらなくて。


「っ……」


「もう、胡桃泣いちゃったじゃん!」


「こ、これはあーちゃんのせいじゃないよ……」


「ううっ、じゃあ3人で泣いちゃおうよ〜」


どういうこと!?

なんて言って、今度はお互いの泣いた顔を見て、3人で笑い合った。
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