むり、とまんない。
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「やっぱさ、遥はすげーわ」


「甘利く……」


「俺なんかじゃ、到底敵わない。
ダンスで行ったら、ぜったい勝てると思ってた。だから敢えてバラードを選んだのに」


はははっと、甘利くんは乾いた笑いを浮かべる。


「けどまあ、こっちを遥かに超えるダンスと歌を見せられたら、なにも文句は言えない。一票差だったけど、負けは負けだし……」


「厳密に言えば、引き分けだ、ばか」


「遥……」


「遥!?」


なんでここに……!?

いつの間にか、制服に着替えたらしい遥がそこにいた。


「最後の一票。
あれ、おまえが入れたんだろ」

「えっ!?」


バッと甘利くんのほうを見ると、甘利くんは観念したようにヤレヤレとため息をついた。


「知ってたの?」


「票を数えてた人から聞いた。
結果が同票で困ってるときに、おまえが来たって。スマホが壊れたやつが友達にいて、その人がbondに一票入れてくれって言ってたって」


そういうこと、だったんだ……。


今回の投票は、ぜんぶスマホでだった。


スマホが壊れた友達がいるっていえば、別に不思議に思われないかもしれない。


でもどうして。


「そんなこと……」
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