むり、とまんない。
「杏!
清見さん!」
「おつかれ、胡桃」
「杏、撮影も合わせて大変だったのに、本当に、ありがとう」
「ぜんぜんだよ。
ふたりにはずっとうまくいってほしいって思ってたから。遥のこと、よろしく」
「杏……」
「ちょっと杏!
なに胡桃泣かせてるの!」
「えええ!?
ごめん胡桃!ほんとごめん!」
「ふふふ、ありがとう、杏」
じわりと目が潤んだけれど、せっかくメイクしてもらったから。
幸せで泣きそうになるのをこらえて、笑顔で杏にお礼を伝える。
「胡桃ちゃん。
いろいろありがとうね」
「こちらこそです。
清見さんも、ありがとうございました」
あーちゃんにも、桃華にも。
杏にも、清見さんにも。
そして甘利くんにも。
みんなのおかげで私は変われた。
比べられて、自信をなくして、大嫌いで仕方なかった自分をここまで好きになれたから。
もう怖いものなんてなにもない。
自信を持って、前を向いて。
遥の隣に立ち続けることができる。