むり、とまんない。


頬づえをついて、チラりとこっちを見た遥。


「っ……!」


『あ、顔逸らした。なに?もしかして照れてる?
ぜったいかわいいじゃん』


遥……。


『かっわいいなぁ。ほんとにかわいい。
世界でいちばんかわいい』


だからもう黙ってええぇぇぇぇーーーっ!!


照れてるとかじゃなくて!
戸惑ってるの!


遥は知らないからわからないかもだけど、授業中に、しかも隣で、ずっと嫌われてると思ってた相手にかわいいを連呼される立場になってみてよ!


今にも逃げだしたい。

叫びたい衝動をこらえて俯いてる私、ほんとお疲れさまだよ……。

無表情なくせに、心の中は「かわいい」しか言ってない遥。

見た目と中身にギャップありすぎ……。


同一人物には思えない。
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