むり、とまんない。


なのに。


「……なんでニヤニヤしてるの、ふたりとも」


「だって、笑っちゃうほど独占欲つよすぎて」

「芸能科にかっこいいやついっぱいいるのはわかるけど、あのクールな顔でそこまでするとか、こんなの笑わないほうがむりだって」


だからって。

あまりに笑いすぎじゃないですかね?


こっちは真剣なのに、教室に入ってきたときのことと、私の隣を陣取ったことを話すと、徐々に笑いが抑えられなくなって。


ブハッとふたりして噴き出したあと。


今はもう、ずうっと、ニヤニヤ。

一生ニヤニヤしてる。


「で?肝心の心の声はどんな感じなの?」

「……は、」


え。

まってまってまって。

あくまでも、冷静に。


「……心の声って、なんのこと」

「それが理由なんでしょ?
中学から俺たちと話さなくなった理由」


とくに、遥。


「……桃華」

「ううっ、だってえ〜!!
杏が教えてくれなきゃ仕事にいかないって、あたしの前で駄々こねはじめるから!!」


「……杏」


「胡桃、そんな引いた目で見ないでよ」


だって、ねえ?

身長180越えのイケメンアーティストが駄々こねる姿。

想像するだけでドン引きだよ。


「……いつ知ったの」

「この世界に入ってすぐだから、胡桃が俺たちを避け始めてすぐかな」
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