むり、とまんない。
どうして私と離れたことでそこまで荒れたのかはわからない。
けれど紛れもなく、原因は私……。
杏以上に遥は、何度も私に話しかけてきてくれた。
その度に私は無視して、視界から遥を消して。
まるで、きらいとでもいうように、振る舞って。
私の言動で大事な幼なじみを、遥を傷つけたという事実に胸が張り裂けそうなくらいいたい。
「べつに胡桃のせいじゃないよ。分かりにくい遥にも責任があるわけだし」
わかりにくい……?
「まあねぇ〜。特に遥の場合はクールだから、あんまり言葉にしないのがもったいないよね」
落ち込んでいる私を励ますように、杏は目を細めて笑って、「大丈夫だよ」と、頭をポンポンとしてくれた。
「遥ね、最近やわらかくなったんだよ」
「え……?」
「そうそう。
女の子に対する態度は変わらずだけど、今朝胡桃といたときの遥、俺でも見たことないくらい、優しい顔してた」
「あたしには喜んでるようにしか見えなかったけどなー」
「それも言えてる」