むり、とまんない。

***


「あ、納豆がない」


それから家に帰ってきた私は、買い物に行く準備をしていた。


前は学校帰りにそのまま行っていたけれど、エコバッグを忘れてしまったことに気づいて、一旦家に帰ってきた。


袋一枚買うのももったいないもんね。


とりあえず野菜と、納豆と……。

私服に着替えて、買うものをメモに書いていく。


んー……あとは行ってみて、かな。

結局メニューもきまってないし。


にしても……。


「はぁ……疲れたなぁ」


重い腰を持ち上げて、エコバッグにサイフやメモをいれる。

さっさと行ってさっさと帰ってこよう。

そう思ってリビングのドアを閉めようとしたとき。


ピーンポーン。


「え?」


珍しくインターホンが鳴った。

だれだろ?


このマンションは桃華たちがいるということもあって、セキュリティが高い。

エントランスは部屋番号を打ち込むオートロックだし、なにより桃華とふたりぐらし。


家に尋ねてくる人なんかほとんどいない。


宅急便の人かな?

そう思ってボタンを押して、画面に映りこんだ人を見たとき。


えっ、な、なんで……!?


「遥……!?」
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