その星、輝きません!
 また、シャッターを開ける音がし始めた。俺は、何を見ても驚かない覚悟を決め、シャッターに手をかけた。

 ガラガラと音を立てて上がったシャッターの向こうには、昨日の女性と、ばあさんが並んでいた。


「ありがとうございます」

 彼女は、頭を下げた。


 だが、さっきの真っ赤な顔の彼女を思い出し、込み上げてくる笑いを押さえるのに必死だった。

「シャッター買い替えたら?」

 そう言うのが精一杯で、俺は車に戻った。もう少し、気の利いたセリフがあったのかもしれない。


 二度もシャッターが閉まるなんて、まるでコントだ。
 どうって事ない日常の出来事に過ぎない。

 だけど、ダンベルのように持ち上げていた彼女の真っ赤な顔も、突然しまってしまったシャッターに目と口が同時に開いた顔も、全てがアホみたいに面白くて思わず笑ってしまった。

 一度笑ってしまったらどうにも抑えきれず、しばらく声を出して笑っていた。
 こんなに面白いと思ったのは、いつぶりだろうか?

 助手席に置いたままの名刺を手に取った。


 カウンセラーねぇ……

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