その星、輝きません!
目的
「鈴橋さん。新規のカウンセリングの依頼が入ったのですが、今日の夕方、予約入れてもいいですか?」
あかねが、カウンターからひょっこり顔を出した。
「えらく急ね? 医院長の指示?」
午後のプログラム資料を見ながら答える。
「いいえ。受診はしなくて良いとの事です。急ぎでカウンセリング受けたいそうです。」
「はあ? 医療保険対象にならないから実費になるよ」
「ええ、お伝えしたんですけど、構わないとおっしゃるので。ただ、今日どうしてもとの事なんです。夕方、予約は入っていないのが鈴橋さんだけなんですよ」
「何か焦っている事でもあるのかしらね? 緊急性があるのかな?」
「焦っているとか落ち着きの無い声では無かったんですけど…… うーん。とっても、いい声でしたー」
あまり参考にならない……
たいして深く考える事もない。とりあえず話を聞いてから、今後の事は考えればいい。
「了解!」
午後のプログラムが終了しても、すぐに帰る患者さんばかりではない。雑談を楽しみにしている人や、居場所を求めている人もいる。
雑談に花を咲かせていると……
「鈴橋さん~」
あかねが、半分空いたドアから両手でパタパタと手招きしている。
「どうしたのよ?」
「あれ見て下さい」
あかねがカウンセリングルームの前を指さした。
ソファーにスーツを着た男性が座っている?
うんっ?