その星、輝きません!
 彼が帰った事を確認し、カウンセリングルームから出た。

「鈴橋さーん。どうして明日も一条さんの予約入れたんですか?」

「私だってよく分からないわよ。でも、明日で最後だって言うから!」

「昨日も同じような事を言っていませんでしたか?」

 あかねが、受付のカウンターから意味ありげにこちらを見ている。


「なによ!」

 じろりとあかねを睨む。あかねの言っている事は、もっともなのだが……


「何、騒いでいるの?」

 医院長がお菓子の箱を抱えて出てきた。休憩の合図だ。
 どこからともなく、スタッフが集まってくる。


「昨日のカウンセリングのみの患者さんですよ。また、明日も予約入れたんですよ!」


「私は、ちゃんと断りました。無理矢理だったんです!」

 カップにコーヒーを注ぐ。いい香だ……

「なんかだか面白そう」

 医院長が、クッキーをほおばりながら言った。


「本当の目的はなんだろうね?」

 ワーカーの薫が、ポットの横にカップを置いた。


「本当の目的? 暇つぶしでしょ?」

「そうかな?」

 腕を組んで何かを考えている薫のカップにコーヒーを注いだ。



 ブルブル……

 バイブにしてあった、ポケットの中のスマホが震えた。

 画面を見て、胃がキリッと痛んだ。


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