その星、輝きません!
 何故、乗らない?
 知らない人? 彼女の言葉に、胸の奥がショックだと言っている。
 いや、ショックの訳などない。

「社長」

 山下がチラリと後ろを見た。何か言いたげな顔をしている。俺に指示出来るのはこの男だけだ。しかも、山下は俺の事をよく理解している。

「なんだ?」

「差し出がましいようですが、女性を誘う時に、あんな強引なやり方はいけませんよ」

「強引?」

 意味が分からない。


 運転手もハンドルを握ったまま、コクコク大きく頷いた。


「せっかくの、いいお顔立ちなのですから、もっとスマートにエスコートしなくては」

 エスコート?

「別に、俺は彼女を誘ってなどいない」

「はあー。そうですか? 社長は、いつもどうのように女性をお誘いするのですか?」


「誘った事などない」


「えっ?」

 今度は、山下が驚いた。


「何もしなくても、相手から近づいてくる。誘われる事はあるが、誘う事などない」

「はあー」
「はあー」

 山下と運転手が、同時に大きなため息をついた。

 何か、俺に問題でもあるのだろうか?
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