その星、輝きません!
 「そう言えば、鈴橋さん」

 「はい?」

 急に呼ばれて、返事が上ずってしまった。

「良太君に話が合って、こっちに来たんですよね。どうぞ、僕の事は気にせず……」

 そうだ。その通りだ。だけど、あなたのせいで、すっかり忘れていましたよ。


「はあ? おっさん何、余計な事言ってんだよ」

 良太は、ビールを吹き出しそうになり口を押えた。

「そうよ! 良太、いったいどういう事なのよ!」


「ハアー。いちいち姉ちゃんが、こんな所まで来て話す事でもないだろ?」


「えっ! 姉ちゃん?」

 彼が、私と良太を交互に見た。


「そうだけど。今頃、気付いたの?」

「何だと思ってたんだよ?」

「いや、何と言われても……」

 彼は、目をパチパチしながら言った。かなり驚いている様子がわかる。


「そんな事はいいわ。良太、大学辞めるってどういう事?」

 本題に戻せた。

「ああ。辞める。勉強したいと思えない」

「せっかく入ったのに、何を考えているのよ!」

 良太に向かって言った。


「向いてない大学なら辞めてもいいんじゃないか? 俺も一年で辞めた」

 彼が、横から何気に口を挟んできた。

「まじか。おっさん。俺もそう思うんだよ」

「口挟まないで! いい加減な事を言わないで!」

 私は、彼に向かって睨んだ。彼は、ちょっとだけシュンとなった。


「もう、辞めるって決めた」

「そうか……  俺は別の大学を受け直したがな。専門的な事を学んでおくのは大事な事だぞ」

 彼は、普通に会話に入ってくる。

「そうよ。辞めてどうするのよ。何か他にやりたい事があるの?」

「おい、おっさん、どっちの味方なんだよ?」

 良太が、今度は彼を睨んだ。
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