その星、輝きません!
知りたい
****

 彼女は今日、長野に帰るのだろうか? 日曜日だし、とりあえず良太のアパートに行ってみるか?

 ピンポーン
 ピンポーン
 インターホンを押すが、なかなか出てこない。

「どなたですか?」
 何度か押しているうちに、良太の面倒臭そうな声がした。

「俺だ」

 ドアのカメラに向かって言った。少し間があって、ガチャリと音がしてドアが開いた。


「どうしたんだよ、こんな朝早くから……」

 良太が面倒臭そうに言った。


「朝早くって言っても、9時すぎてるぞ。お姉さんは?」

「もう、帰ったよ」

「えっ! どうやって? どうしてこんな早くに?」

 まさか帰ったなどと、思ってもみなかった。


「車で来たから、朝の空いているうちに帰りたいんだとさ」

「車できたのか? 長距離なのに一人で大丈夫なのか?」

「ああ、混み合う高速は苦手だから、早朝に帰ったんだよ」

 一人で運転して来ていたのか。休みの日は道も混むし、事故も多い。


「無事に帰れるだろうか?」

「ああ。さっき、無事に着いたってラインきたよ」

 もう、着いたのか。一体何時に出たんだ。



「そうか…… 良かった……」

 ほっとしたのと、会えなかった事に、肩の力がすっと抜け落ちた。

「おっさん、何しにきたの?」

 良太が頭をかきながらソファーに座った。


「お姉さんにちょっと……」


「ふーん。連絡してから来ればいいのに…… 俺もこれからバイトだから」

 連絡?
 どうやって?
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